「自転車少年と哲学少年」
bakhtin19880823.hatenadiary.jp
「きょうは何読んでんだ……また岩波文庫の『青いやつ』か……ははぁ、またソクラテスの本だな?」
「違う!!」
「おおw」
「ソクラテスは一冊も本を書いていない!! ( ー`дー´)キリッ」
いつも体育館裏のベンチで、難しそうな本を読んでいる、真島正志と同じクラスの笹川哲(ささがわ さとる)。真島は、笹川の存在が「おもしろい」と思って、体育館裏に足繁く通っていたら、笹川と親しくなっていた。
「マキ、心のむこうに、憧れのギタリスト」
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「マキちゃんのさぁ」
「うん・・・・・・」
「尊敬するギタリストって、誰なの」
「(間髪入れず)カシオペアの野呂一生さんと、T-SQUAREの安藤まさひろさん」
「ご、ごめん、知らなくって」
マキと次第に仲良くなるすずかは、いつの間にか「マキちゃん」と呼ぶようになっていた。
「夕方5時のチャイムが鳴る」
「マキは、どの曲がいちばん好き? わたしは『東京炎上』」
「『パッション・フルーツ』」
「だと思った♥」
マキのお母さんは、音楽関係のライターをしているようである。
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「激安アイスコーヒーと鑑定団とビートルズ」~「ジョンに賭ける」
bakhtin19880823.hatenadiary.jp
『コーヒー・紅茶 200円」
「こ、ここは、最近オープンしたんですか?」
「もともと地下にスタジオがあったんだ」
「そうだったんですか!? てっきり廃墟みたいになっているとーー、
あ、すすすみません(^_^;)」
「いやいや。
近年、商店街の『さびれ』が進んでいるだろう? 若い人を呼び込みたくてね。
まぁ、商工会の要請でもあるんだけど……。
君みたいな若い子に来てほしかったんだ。
それで、『Ticket to Ride』や『Yesterday』みたいな曲を覚えて帰ってくれたら、僕としては最高だねw
そして『Ticket to Ride』や『Yesterday』がどのミュージシャンの曲か、も知ってくれて、そこから音楽の世界に入り込んでくれるのなら……。
おっと、お待たせ、出血大サービスの200円アイスコーヒーだ」
「あ!」
「えっ(;´∀`)」
「鑑定団!! 鑑定団!!
土曜のお昼の!!!!!!」
「ああ、なるほど~。やっぱり君らみたいな世代だと、そんな認識になっちゃうのは仕方ないか~w」
「この曲、なんて曲ですか?」
「『HELP!』」
「歌ってるのは?」
「そりゃもう当然、ザ・ビートルズさ」
「(゚д゚;)!?」
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『ジョンやポールの名前を覚えただけ、進歩なんじゃない?』
「的場さん!? (゜o゜;)」
「なんだ、マキちゃん、この子と知り合いだったんじゃないか」
「いちおう」
「クイズ。戸崎さん、この曲(Taxman)を作ったのは、ビートルズのメンバーなんだけど、いったい誰でしょう?」
「えーっと、ジョン・レノンかポール・マッカートニーのどちらかで・・・・・・、
ジョン!!」
「残念!!w」
「えええええ、じゃ、じゃあ、ポール?」
「えええええええええええ」
「的場さんーー」
「( ´д)プイッ」
「こ、この曲、いいね」
「(;´д)」
「英語だから歌詞はわからないけど」
「び、ビートルズの歌詞は、英語圏のロックバンドのほうでも、いちばん聴き取りやすいほうなんだから(;´д)
中学に入ったころ、それこそ『赤盤』の曲をひたすら歌いながら練習してーー」
「『赤盤』って、さっきまでかかってた?」
「そう、ベストアルバム。
『青盤』っていう続きのベストアルバムとひとつながりになってるんだけど」
「(目を輝かせて)えっ!
ビートルズって、これだけじゃないの!?(゚∀゚)」
「・・・・・・ほんとになんにも知らないのね(ボソッ)」
「うっ(゚∀゚;)」
「マスター、『Tomorrow Never Knows』」
「『トゥモロー・ネバー・ノウズ』?
(首をかしげて)
ミスチル?」
「( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \」
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「えーと、『イエスタデイ』がポールで、『ヘルプ!!』がジョンなのね」
「とうぜん」
「『イエスタデイ』の流れだったら、こういう革新的な曲を作るのは、ポールのほうな気がするけど」
「す、するけど?」
「あたし、『なんでも鑑定団』のオープニングで、無意識的に『ヘルプ!!』を聞いてきてて――それでも、曲の出だしが、『斬新』だとは思った」
「で、やっぱり『イエスタデイ』からの流れだったら、『Tomorrow Never Knows』もやっぱりポールの作品ーー」
「と見せかけて、あたしは『あまのじゃく』だから、敢えて、『Tomorrow Never Knows』の作者はジョンだ、というほうに賭けてみる」
「!? どうしてわかるの……(゜o゜;」
「へへ、野生の勘」
× × ×
「あ、もしかして、イントロの『ぱーらぱらぱらぱぱー♪ ぱーぱーらぱらぱらぱーぱー♪』ってとこ?」
「戸崎さん……」
「なに?」
「よどみなく歌えるのね」
「えっ、どういうことw」
「い、いや、リフ…ギターリフを正確に覚えていて、『ぱーらぱらぱらぱぱー』とか、ことばは適当だったけど、テンポは『Innocent World』のそれとほとんど同じだったよ」
「もしかして褒めてくれてるの!?」
「ウッ(-_-;)」
戸崎あかりの音楽センスを、褒めざるを得なくなった、的場マキ。
あかりとマキが歩み寄った先に、何が、待つーー?