【愛の◯◯】感傷旅行と想い出旅行

ふたたび湘南地方某海岸

 

愛が、浜辺の岩に腰を下ろし、遠くをボケーッと眺めている。

と、思いきや、カバンにつけているDB.スターマンのキャラグッズを、ふにふにいじっているご様子。

おれは、すこし愛と距離をとって、それを後方から眺めているだけ。

 

https://ec.baystars.co.jp/upload/save_image/n_4573357000260_1.jpg

これと似たようなポーチが、愛の部屋にあったような気も・・・

 

 

あのー、すみません。写真撮ってもらえませんか?

 

おれに声をかけたのは、20代中盤と思しきカップル。 

 

アツマ「あ、OKですよ。」

カップルの男性「すみません、こいつがここで写真撮りたいって言い出したきり、譲らなくってw」

カップルの女性「あんたがなかなか写真撮る場所決められなかったからじゃん」

カップルの男性「おまえ、場所が悪いと文句言うだろ」

カップルの女性「馬で踏むよ!?

 

アツマ(う……馬? (^_^;))

 

アツマ「仲がいいんですね。うらやましいです」

カップルの男性「そ、そう見えますか……ありがたいです」

カップルの女性「(みるみるうちに顔が赤くなり)ありがとうございます……、

(男性と腕を組み)ほら、さっさと撮ってもらおー?」

カップルの男性「もじもじすんな

カップルの女性「キモいねーって、もう一度言ってやろーか?」

カップルの男性「! お、おまえ、おれがバドミントン対決で負けたときのこと、まだそんなに記憶してるのか……(-_-;)」

カップルの女性「(男性に寄り添い)ごめんね」

カップルの男性「?」

カップルの女性「『バドミ』とか言ってて、バカにしてた」

カップルの男性「……」

 

アツマ「あ、あの、いいですか、撮っても(^_^;)」

カップル『ご、ごめんなさい!』

 

♪パシャッ♪

 

カップルの男性「ありがとうございます。」

カップルの女性「(再度、ほんのりと赤くなって)あの……ここらへんの高校で、わたしたち、出会ったんです。

 廃校になっちゃったけど

アツマ「へえ~」

 

ロマンだなあ。

アニメみたいだ。

 

カップルの男性「おまえ、それ言う必要あるか!?」

カップルの女性「(照れ気味に)いいじゃん!! ほんとうに馬で踏むよ!?」

 

おれは馬で踏まれるのはゴメンだが。(^_^;) 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

 

 

 

「よぉ」

「アツマくん、どこ行ったかと思ってた」

「ちょっと頼み事をされてね」

「頼み事……?

 不安だったんだよ、(しだいに声が震えて)どっかに消えちゃったんじゃないかと思ったじゃん、空は曇ってきたし、波は強くなるし!」

「(愛のとなりに黙って腰掛け)悪かった」

「バカ。」

 

「(愛があたまをじぶんの肩に寄せてきているのを感じながら)悪かった。」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 

 

・・・・・・・・・・・

 

そのうち愛はスースー寝はじめてしまった。

まあ、いろいろあったし。

ただ、現在、おれの肩に寄り添った状態で爆睡中。

人通りが少なくてよかった。

 

波はさっきより穏やかになり始めた。

 

「ソトが3ラン打ってDeNAが逆転したけど、バティスタがタイムリー打ってすぐさま1点差かー。

 こりゃ、広島のサヨナラ勝ちかなw(^_^;)」

それはやだ

「ビクッ!! や、野球の話つぶやいた途端に起き出すんだからおまえは……」

ボール持ってくればよかった

「どうして」

アツマくんとキャッチボールしたかった

「・・・・・・またいつでもできるだろ。

 いつでも。」

 

「(泣き顔で)・・・・・・ありがと。