ふたたび湘南地方某海岸
愛が、浜辺の岩に腰を下ろし、遠くをボケーッと眺めている。
と、思いきや、カバンにつけているDB.スターマンのキャラグッズを、ふにふにいじっているご様子。
おれは、すこし愛と距離をとって、それを後方から眺めているだけ。
↑これと似たようなポーチが、愛の部屋にあったような気も・・・
『あのー、すみません。写真撮ってもらえませんか?』
おれに声をかけたのは、20代中盤と思しきカップル。
アツマ「あ、OKですよ。」
カップルの男性「すみません、こいつがここで写真撮りたいって言い出したきり、譲らなくってw」
カップルの女性「あんたがなかなか写真撮る場所決められなかったからじゃん」
カップルの男性「おまえ、場所が悪いと文句言うだろ」
カップルの女性「馬で踏むよ!?」
アツマ(う……馬? (^_^;))
アツマ「仲がいいんですね。うらやましいです」
カップルの男性「そ、そう見えますか……ありがたいです」
カップルの女性「(みるみるうちに顔が赤くなり)ありがとうございます……、
(男性と腕を組み)ほら、さっさと撮ってもらおー?」
カップルの男性「もじもじすんな」
カップルの女性「キモいねーって、もう一度言ってやろーか?」
カップルの男性「! お、おまえ、おれがバドミントン対決で負けたときのこと、まだそんなに記憶してるのか……(-_-;)」
カップルの女性「(男性に寄り添い)ごめんね」
カップルの男性「?」
カップルの女性「『バドミ』とか言ってて、バカにしてた」
カップルの男性「……」
アツマ「あ、あの、いいですか、撮っても(^_^;)」
カップル『ご、ごめんなさい!』
♪パシャッ♪
カップルの男性「ありがとうございます。」
カップルの女性「(再度、ほんのりと赤くなって)あの……ここらへんの高校で、わたしたち、出会ったんです。
廃校になっちゃったけど」
アツマ「へえ~」
ロマンだなあ。
アニメみたいだ。
カップルの男性「おまえ、それ言う必要あるか!?」
カップルの女性「(照れ気味に)いいじゃん!! ほんとうに馬で踏むよ!?」
おれは馬で踏まれるのはゴメンだが。(^_^;)
・・・・・・・・・・
「よぉ」
「アツマくん、どこ行ったかと思ってた」
「ちょっと頼み事をされてね」
「頼み事……?
不安だったんだよ、(しだいに声が震えて)どっかに消えちゃったんじゃないかと思ったじゃん、空は曇ってきたし、波は強くなるし!」
「(愛のとなりに黙って腰掛け)悪かった」
「バカ。」
「(愛があたまをじぶんの肩に寄せてきているのを感じながら)悪かった。」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
・・・・・・・・・・・
そのうち愛はスースー寝はじめてしまった。
まあ、いろいろあったし。
ただ、現在、おれの肩に寄り添った状態で爆睡中。
人通りが少なくてよかった。
波はさっきより穏やかになり始めた。
「ソトが3ラン打ってDeNAが逆転したけど、バティスタがタイムリー打ってすぐさま1点差かー。
こりゃ、広島のサヨナラ勝ちかなw(^_^;)」
「それはやだ」
「ビクッ!! や、野球の話つぶやいた途端に起き出すんだからおまえは……」
「ボール持ってくればよかった」
「どうして」
「アツマくんとキャッチボールしたかった」
「・・・・・・またいつでもできるだろ。
いつでも。」
「(泣き顔で)・・・・・・ありがと。」