目まぐるしい昼休憩

昼休憩

 

アカ子、さやか、そして愛が、昼ごはんを食べている。

 

アカ子「でも愛ちゃんよく出るって決意したわよね。意外だった」

さやか「中学から通ってるからわかるけど、伝統芸だからねえ。うちの学校の突発的な単発イベントの『ねじ込み』はーー。

 

 で、愛には『勝算』あるの?」

さやかと向かい合って座っているアカ子「ちょっと、青島さん、愛ちゃんにプレッシャーかけないでよ

アカ子と向かい合って座っているさやか「下の名前で呼んでもらうほうがいいんだけど(殺気)

 

愛「(ポツリと)葉山先輩がいるから……」

 

さやか、フォークに突き刺していたプチトマトをぽとりと落とす。

 

さやかを睨みつけていたアカ子も思わず真顔になる。

 

愛「ねえ、音楽室って昼休憩も使えたよね」

 

『羽田さん、コンテストまでずっと使えるよー』

『がんばって!! クラス全員で応援してる』

 

さやか「(ガバッと立ち上がって)ちょっと! 愛に余計なプレッシャーかけないでもらえる!?」

 

青島さんわたしらのクラスじゃないじゃん』という空気がたちまち教室に蔓延する

 

さやか「(くちびるを噛み)ぐ……」

 

愛「(わざとらしく)みんな仲良くしようね。

 

そういって愛は教室から出ていく。

 

『・・・・・・』

さやか「・・・・・・」

 

アカ子「お弁当ぜんぜん食べてない」

さやか「だれが」

アカ子「愛ちゃんに決まってるじゃない」

さやか「ほんとだ」

 

慌てて教室を出て愛を追おうとするさやかだったがーー

 

アカ子「(さやかを制して)待って、さやかさんわたしにいかせて」

さやか「だ、だって(愛のクラスメイトをちらっと見る)」

 

かぶりを振るアカ子。

 

 

 

自分の教室でない教室に取り残されるさやか

 

『・・・・・・』

「・・・・・・」

 

あのふたりを待たなきゃいけなくなった、教室から出られない……。 

 

音楽室

 

急行するアカ子。

 

愛は窓の外を見つめていた。

 

愛「アカちゃんだ。てっきりさやかが来ると思ったよ。

 さやかの性格的にw」

アカ子「さやかさんよりわたしのほうが付き合いははるかに長いんだけど

愛「うっ」

 

愛「(アカ子の肩に手を置いて)……ヤキモチ?」

アカ子「わたしさやかさんの悪口言ってるつもりないわよ、それより食欲ないんじゃないの? 見えないところでプレッシャーが、やっぱり葉山先輩のーー」

愛「さやかのほうが心配だな~」

アカ子「なにのんきなーー」

 

にわかにキツい表情になる愛。

 

愛「さやか、教室に取り残されるのよ、今。よく知らない子の冷たい視線浴びて」

アカ子(お、怒ってる)

愛「戻りましょう

アカ子「・・・・・・(´・ω・`)」

愛「戻るのよ。はやく

 

ダッシュで駆け出す愛。

 

と、音楽室の入り口に、葉山先輩が……!

 

愛「こ、こんにちは葉山先輩。きょうは元気そうでなによりです」

葉山先輩「こんにちは羽田さん。

 あなたこそどうしたの?

 廊下は走っちゃダメだよw」

愛「こ、こ、ここは廊下じゃないです」

葉山先輩「だってあなたわたしに危うくぶつかりそうだったじゃないw」

 

こ、この威圧感……。

わたしと身長も体重も胸の大きさもほとんど同じはずなのに、葉山先輩のほうが2倍ぐらい巨大な存在に思える。

 

立ちすくみうつむく愛を尻目に早足で音楽室を出ていくアカ子。

 

アカ子「何してるの愛ちゃん! さやかさんのところに戻るってあなたが言ったのよ!?

愛「ビクッ」

 

愛「し、失礼します、先輩」

 

 

 

葉山先輩「(微笑みながら嘆息して)……ふたりとも、

 廊下は走っちゃダメだよ♫」

 

 

 

さやかがひとりぼっち(になっていると思われる)教室

 

愛「(息を切らして)はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……、

 

 あ、あれ、さやか!?

 

 さやかが、ちやほやされてる

 

わいわいがやがや

 

さやかがクラスのみんなの羨望の的に。

勉強を教えてあげてるみたいだ。

そういえばさやか、アカちゃんと同じくらい勉強できるんだったーー。

 

 

でもどんなきっかけで?

あとで、さやかに絶対に問い詰めなくちゃ。