8月30日 夏休みが終わってしまう

 

 

London Calling

London Calling

 

 

・グランドピアノで、愛が、Clashの曲を弾いている。

 

♪Lost in the Supermarket♪

 

愛「~♪」

 

青島さやか「パンクも聴くのね」

愛「パンクなの? これ」

さやか「パンクロックじゃなきゃなんなの…」

 

さやか「愛、『サンディニスタ!』は聴いたことがある?」

愛「う…生憎、財政的な問題から、まだーー」

さやか「(微笑んで)お小遣いが足りなかったんでしょ」

愛(ギクッ)

 

 

サンディニスタ!

サンディニスタ!

 

 

さやか「『サンディニスタ!』、ウチにあるから、こんど貸してあげるよ」

愛「(喜んで)ほんとう?

さやか「ほんとう。

 その・・・・・・(顔を赤らめながら)、兄が持っていたのを・・・・・・、

 (どぎまぎ)」

愛「( ^_^)」

 

愛「でも、『サンディニスタ!』貸してもらえるのは、学校が始まってからになりそうね」

さやか「そうね。

 今週末で、夏休みも終わり」

 

 

愛「わたし、こんなことしてる場合じゃなかった」

さやか「夏休みの宿題の件ねw」

愛「そう(・_・;)」

さやか「あと、どれくらい?」

愛「国語以外ほとんど終わってるけどーー」

さやか「なんで国語残るの」

愛「・・・・・・得意意識?」

さやか「まぁ、国語の先生、優しいからね。

 特に伊吹先生」

愛「はい、わたしたち(文芸部)の顧問ですね・・・(-_-;)」

 

 

万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)

万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)

 

 

さやか(テーブルに置いてある文庫本を見て)

大江健三郎読んでるんだ」

愛「そうね、『万延元年のフットボール』、

でもねえ・・・・・・この程度の長さだと、『世界文学』を読み慣れていると、短いってわけじゃないけど、物足りないのよ」

さやか「『世界文学』ってなによ」

愛「えーっと、えーっと、つまり海外の長編小説とかのーー」

さやか「まあ、小説以外にも、ホメロスやダンテの作品も『文学』の第一級だしね」

愛「そうね、文学≒小説と思ってる人の多いこと多いこと・・・・・・」

 

さやか「『万延元年のフットボール』で大江が物足りないなら、同時代ゲーム読めばいいじゃないの」

愛「うーん、読んだか読んでないか、忘れた」

さやか「あんた、読書記録のためのノート、とってないの!?」

愛「あったわよ! ーーなくしちゃったけど。」

さやか「(驚いて)どうして!?」

 

愛「あのね、人のこと言えないと言うかなんというか・・・・・・メンタル的に、ちょっと乱れていた時期があって」

さやか「(真顔で)それ、いつ」

愛「今月・・・」

さやか「!? 今は大丈夫なの」

 

ポーッと愛の顔に赤みがさす。

 

愛(さやかの耳元で)「あのね・・・・・・わたし」

 

 

 

 

さやか(絶句)

 

 

 

 

・・・・・・・・・

 

さやか「それで、その、告白・・・・・・の返事は」

愛「まだ」

さやか「もっと『押せば』いいんじゃん」

愛「いや、わたしは、『待つ』べきだと思うわ」

さやか「そんなこと言ってたら、夏休みが終わっちゃうでしょうが!」

愛「だって、わたし、いま、彼といっしょに住んでるのよ。

 じっと待つのよ」

さやか「シュープリームス(Supremes)みたいなこと言うのね……(-_-;)」

 

愛(階上にあるアツマの部屋の方を見て)

「良かった。

 アツマくんに『好きなんだと思う』って言っちゃったら、気持ちが一気に軽くなった。

 さやかも、お兄さんに、もっとベタベタ甘えてみたら?」

さやか「ん…(-_-;)」

 

 

♪ピンポーン♪

 

愛「あ、アカちゃん来た」

さやか「夏休みの宿題の総仕上げね!」

愛「うん、始めよう!」