愛の手料理すごくうまい

・明日美子さんとあすかから、帰宅が遅くなるという連絡があったので、アツマが迎えに行くことになったのだが・・・。

 

アツマ「流さん、出掛けちゃったな・・・」
愛「しかたないでしょ、彼女さんとの約束に、時間、遅れるわけにはいかないでしょうが」
アツマ「たしかに。しかし・・・(-_-;)」
愛「わたしとアツマくんだけになっちゃったね(-_-;)」

 

アツマ「ま、まぁ、もうすぐ母さんもあすかも、駅に着くから!!」
愛「もうすぐって、あと1時間以上の、どこがもうすぐ?」
アツマ「うっ」

 

愛「ねぇ、わたし、ごはんつくってあげる」
アツマ「えっまじで」
愛「だって、おなかがすいたら、イライラするでしょ」
アツマ「たしかにそうかもな」

 

 

エプロン姿の愛「〜♫」


とんとんとんとん・・・
包丁とまな板の音。

 

じゅーじゅーっ。
フライパンで、炒めものをしている音と、
香ばしい薫り。

 


エプロン姿の愛「おまちどうさま。」

アツマ「あ、こりゃどうも」

 


○食卓で向かいあう愛とアツマ

 

アツマ(なんか、しーんとしてて、落ち着かないなぁ)
愛「じゃ、食べよっか」
アツマ「おお」

 

『いただきます』

 

アツマ(黙々と食っている)
愛「あの〜」
アツマ「なに?」
愛「コメントとかないの」
アツマ「なんの?」
愛「料理のに決まってるでしょっ」
アツマ「ん・・・(^_^;) おまえの料理はなんべんもなんべんも食ってるからな、」
愛(あのねぇ・・・)
アツマ「贅沢にも
愛(ドックン!!

 

愛(え、いま、「贅沢にも」って、言ってくれた!?
 わたしの料理を、アツマくん、ほめてくれて、ということは、
 いつも、わたしの料理、美味しい美味しいって思いながら、食べてるってことでーー)

 

アツマ「お〜い、愛さ〜ん?」
愛「(我に返って)き、きらいな材料とか無かった?」
アツマ「ない、嫌いな食い物がないのだけが取り柄だから」
愛「そんなに自己評価低くなくてもいいじゃない」
アツマ「それに、おまえの作り方が上手いのか、『食べやすい』んだよ、おまえの料理は。分量も、満腹になりすぎない程度で、絶妙だし。
 なにより、美味しいしな」


愛(えっ・・・・・・、
 ホメ殺し!?
 まさかの?
 心なしか、心臓の鼓動が、トクントクンと速くなってーー、)

 

アツマ「あ、やべ、あすかからメールだ。悪い、片付けやっといてくれ、迎えに行かなきゃあ」
愛「あ、はい(・・;)」


○玄関口まで来たアツマ

(待てよ・・・・・・)

 

「おーい」

愛「どうかした、アツマくん?」
アツマ「おまえ、ひとりで洗い物してるの、寂しいだろ。
 一緒に駅まで行こう」
愛「!?!?!?
アツマ「なにポカーンとしてんだ、ふたりで駅まで歩いていくだけだろ」
愛「あああああらいものとっとっととちゅうで
アツマ「流すだけでいいだろ。
 拭くのは俺がやってやる


固まってしまった愛「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どこか、わたしの料理、おかしかった??」

アツマ「なに言ってんだ、美味しかったよとても! ほら、もう電車が来ちまう、行くぞ!!(玄関に)」
愛「ま、待ってよ!」


・・・・・・まだ日没前で、駅への道は明るかった・・・・・・