【愛の〇〇】アツマくんに叱られる

わたし「(^ワ^=)でね、さやかったら、『恋は盲目』ってああいうことなのかしらね、テスト勉強も手につかない様子で──」

アツマくん「(・_・ )愛」

わたし「(^ワ^;)ギク」

アツマくん「(・_・ )あんまりひとのそういう事情をおちょくるのは感心しないなあ」

わたし「(^ワ^;)」

アツマくん「(・_・ )ハルやアカ子さんにまでちょっかい出してるみたいじゃないか。そのうえ、さやかさんにまで探りを入れて──、

    (・_・💢)もうちょい、そっとしておくもんじゃねーのか、そーゆー他人のデリケートな部分ってもんは!」 

 

わたし「( ´•_•`  ;)」

 

わたし「( ´•_•`  ;)ごめんなさい」

アツマくん「(・_・ )おれに謝られてもなあ。

    まぁ過度に干渉すんなよ、ってことだ。

   ( ・ᴗ・  )そっとしといてやれよ、そういうことは」

 

わたし「アツマくん……、

    おとうさんだ、この家のおとうさん

アツマくん「(;´Д`)は!?     意味わかんねえ」

わたし「そうやって叱ってくれるじゃん。ほら、お料理対決でわたしが葉山先輩と口論になってる時もさ……」

アツマくん「叱られて嬉しい人間なんていんのか」

わたし「きちんとわたしが納得できるように叱ってくれたなら、嬉しい」

アツマくん「(・_・;)おまえのおとうさんも、おまえに怒ったりすんのか」

わたし「怒るのと叱るのは違うよねえ」

アツマくん「じゃあやっぱおまえを叱ったりもするのか」

わたし「ぜんぜん

アツマくん「(;´Д`)なにィー」

わたし「だってわたしまじめだったし」

 

わたし「すっごい小さい時に利比古ときょうだいげんかした時とか?    そういう時はわたしがおとうさんに叱られたってことはあったなー、お姉ちゃんのほうを叱るよねーやっぱり」

アツマくん「意外だな、弟を溺愛してる割には」

わたし「でも30秒後には仲直りしてたし、わたしがすぐ反省してるの、おとうさん見ていて、よしよし愛はいい子だな、って頭をなでなでされて…うれしかった💛」

アツマくん「(;; ´Д`)」

わたし「ね、アツマくん。これからもわたしが良くないことしてたら、叱ってね💛」

アツマくん「……」

 

とつぜん頭を抱え、テーブルに突っ伏するアツマくん。

 

( ゚д゚)どうしたの!?

 

アツマくん「(絞り出すような声)不安だよぉ……」

わたし「何が!?    もしかして大学受験が!?」

アツマくん「そうだよ~浪人したら浪人したで、予備校のお金とか家族に迷惑かける」

わたし「今から浪人想定とか、後ろ向きにも程があると思うんですが」

 

わたし「(;´・ω・)自信ないの?」

アツマくん「ない

 

わたし「(`・ω・)ノ( ´д`;)ナデナデ」

アツマくん「愛~」

 

わたしは──

アツマくんの背中を、さすってあげた。

 

アツマくん「(さすられながら)愛ぃ~、おれ、大人なんかじゃねえよぉ~」

わたし「よしよし」

アツマくん「(;▽; )ウワーン」

わたし「よしよし、アツマは強い子だぞ」

 

アツマくんが、わたしの手を握りしめてきた。

 

アツマくん「ありがとな~、愛、ありがとな~、恩に着る

 

 

 

大学受験期のメンタルヘルス

みんな、アツマくんみたいに、なっちゃうものなのかしら。

藤村さんも?

想像つかないな。

 

そういえば。

八木先輩が、ちょっと心配だ。

この前、進路指導の先生と口論になっていた……。

焦燥、っていうのかしら。

 

 

朝ごはんのスープを作りながら、

藤村さん、

小泉さん、

八木先輩、

そして、葉山先輩、

それぞれの進路に、思いを巡らしていた。

 

アツマくんの進路もw

思いやってあげよう、アツマくんを。

アツマくんに優しくしたい。

優しくするのが、わたしのつとめ。

 

お皿を並べ始めたアツマくん「きょうも期末テストなのに、スープ作ってもらってすまんな」

わたし「お皿並べてくれるとか…そこまでしなくてもいいのに」

 

 

アツマくん「おれたち家族だろ。

   ──!?!?

アツマくんの背中にもたれるわたし「やっぱり、アツマくんは、おとーさんだな」

アツマくん「い、いきなりの、背後からのスキンシップは、戸惑うんだな」

わたし「受験、ご苦労さま」

 

アツマくん「(;´Д`)いつまでおまえはおれを背中から抱いてる気だ…」

わたし「だってスープもう出来てるし」

 

わたし「ありがとう、アツマくん」

アツマくん「(;´Д)なにが、ありがとう、なんだよ」

 

( ˘͈ ᵕ ˘͈♡)˚๐*˟ ♡

 

 

 

カップルは爆発しろ!💢

【愛の〇〇】さやかの想い人の先生って、だれ?

期末テスト期間四日目

 

…というわけで、昼下がりの時間帯だが、いつもより早く戸部邸に帰宅し、自分の部屋に入り、テスト勉強──

する前に、ベッドに仰向けに寝転び、わたしは考え事をしていた。

 

さやかが意識してる「若い男の先生」って、だれ?

 

まず、真っ先に候補から除外できるのは、音楽の荒木先生だと思う。

 

たしかにさやかは、2年連続で荒木先生のほうのクラスで音楽を習ってるし、荒木先生は、わたしたちの学校の教師陣の中でもたぶん一番若くて、そういう強調材料はあることはある。

 

でも、逆に荒木先生は『若すぎる』と思う。さやかのお兄さんより若いんだもんね。これはわたしの独自推理だけど、さやか、荒木先生のことなんか眼中に無いんじゃないかしら。

新任の頼りない大学生の延長みたいな荒木先生よりも、魅力的な20代の男の先生、思い当たるフシがあるから。

 

20代後半……というよりも、流行り言葉でいえば『アラサー』か。

 

本命が、化学の上重(かみしげ)先生。すごく優秀な先生で、京大の理学部を出て理科教師になった。

逆に、なんで中高の教師に?    とかいう疑問は的外れで、「日本の中等教育における理科教育のレベルを高めたかった」んだって。

前に上重先生、「小学校教員の資格が取れたら取りたかった」って悔しがってた。

 

そこのあなた!

 

意識高い系じゃんw』って嗤(わら)ってない?

 

ほんとに意識が高いだけだったら、最初から相手にしないわよ、わたしたち生徒は。

──なんちゃって。

わたしの学校、『意識高いだけの先生』なんて、ひとりもいません。

 

(伊吹先生みたいによくわからない意識の先生もいるけど)

 

高い意識が空回りする先生がいても、それは最初だけで、

わたしたち生徒と、その先生が協働で、授業を軌道修正していきますから。

 

ごめんね。

これが名門女子校が誇る『自浄作用』だってことを言いたかったのだけど、うまく伝えられてないよね。

 

 

とにかく明日が理科の選択科目のテストであることにかこつけて、さやかに探りを入れてみることにした。

 

──性格、悪いかな。

アツマくんに知れたら怒られそう。

ま、いいか。

 

 

羽田愛:あした上重先生の化学よね

さやか青島:わざわざ『上重先生』をくっつける意図はなに

羽田愛:上重先生のメガネってさ──

 

羽田愛:かっこいいよね

 

さやか青島:はい!?

さやか青島:なにがいいたいの

さやか青島:あっ

さやか青島:こいつぅ

 

さやか青島:この前わたしが勘づかれたから、おちょくってんのね

羽田愛:ご名答

さやか青島:勉強しなさい、愛

羽田愛:ごもっとも

 

羽田愛:化学かぁ

羽田愛:元素記号

羽田愛:水兵リーベのLiebe

羽田愛:ふふ…Liebe

 

さやか青島:あのねえ👊🏻💢

羽田愛:でもドイツ語の授業でLiebeって単語見ると、ちょっとドキっとしない?!

さやか青島:それはあんたの名前が『愛』だからでしょうが

羽田愛:そうだった

さやか青島:こじつけなんてあんたらしくないね

羽田愛:ドイツ語といえばさー

さやか青島:またさらにこじつけるつもり💧

羽田愛:ドイツ語の杉内先生

 

さやか青島:なに、そこまでして特定したい!?

羽田愛:だーれをとくてーすーるのかなっ

さやか青島:わたしにテスト勉強させてよ

さやか青島:音楽史のプリント見てるんだから

 

あれ?

 

羽田愛:さやか

羽田愛:音楽のテストもう終わったでしょ?

羽田愛:わたしのクラスもあんたのクラスも

羽田愛:同日に

 

羽田愛:なんであんたテスト終わった教科のプリント見てるの

 

 

応答がない。

 

 

3時間後

 

スマホの着信♪

 

『あ、さやか。』

『……………』

『びっくりしちゃったよ、いきなり連絡途絶えちゃったから』

『愛』

『なーに?』

『(しおしおにしおれたトーンで )わたし、墓穴掘っちゃった』

『なに、どゆこと』

音楽史のプリント見てたのはね……勉強が手につかないから』

『はいぃ!?』

 

『なにがあったの?

    まさか、恋わずらいとかいうわけじゃないでしょ!?』

『……』

 

『……』

『だ、黙ってたらわからないよっ』

『その、まさか。

    荒木先生のこと考えてて、勉強が手につかない。

    それで、ずーーーっと音楽史のプリント眺めてたの。』

 

 

わたしは……、

予想外すぎて、

驚愕のあまり、

スマホを右手から落とした。

 

 

 

:(;゙゚'ω゚'):

【愛の〇〇】荒木笙(あらきしょう)先生、新任、教科は音楽

『えーっと、このクラスを今日から担当することになりました、荒木と言います、1994年生まれです』

 

  • にわかに上がる歓声
  • その歓声に混じる「若ーい!」という声

 

そして──、

はにかむ荒木先生。

 

音楽教室のいちばん後ろの隅っこで、わたしは荒木先生の自己紹介を眺めていた。

 

(94年生まれとか、わたしのお兄さんより年下じゃん)

 

……それが、

第一印象。

 

 

 

『皆さんは流石に知らないかな?    久保田早紀さんというシンガーソングライターがいて、えーっと今は芸能界からは引退で名前も変えたみたいなんですが、彼女の曲で「異邦人」って曲がありまして、昭和五十五年だったかな?    あ、この教室、ぼくも含めてみんな、平成生まれだよね』

 

  • あたたかい笑い声に包まれる教室

 

(知ってるよ……『夢がたり』ってアルバムに入ってることも)

 

と心の中では思っていたが、

もちろんその時口には出さなかった。

 

 

夢がたり

夢がたり

 

 

 

『えーそれで、それでね、もしぼくが女の子に生まれた時は、久保田早紀さんの下の名前を丸パクリして【早紀(さき)】って名付けようとしたそうです、うちの親がそういう世代なので……』

 

(へぇ)

 

『でも産まれてきたのが男の子だったので、両親が青春時代によく聴いてた、シュガーベイブってバンドが、あったんだね、あったんだよ、じつは山下達郎がソロデビューする前にいたバンドなんだけど』

 

  • へえーっ!!    という歓声

 

(ま、普通は知らないよね、今どきのJC……女子中学生は、さ)

 

『それでですね、シュガーベイブはたった1枚だけアルバムを出していて、『SONGS』っていう名前のアルバム、シュガーベイブは、山下達郎と、大貫妙子っていう女性シンガーソングライターのツインボーカルみたいな体制だったんですが、この『SONGS』ってアルバムは、ぼくの親父が初めてお小遣いを貯めて買ったレコードだったそうです』

 

 

SONGS

SONGS

 

 

 

(ふーん)

 

『そんでもって、ぼくが産まれた1994年にちょうどこのアルバムのCD版が出て、ボーナストラックで「指切り」っていう曲が入ってて、ぼくは「指切り」って曲が、シュガーベイブが演奏した曲のなかで特に好きなんです、けど、これ実は大瀧詠一のカバーで、しかも「指切り」じゃ名前の由来にならない……とか当時両親は考えてないと思うけど、さっきも言った通り「早紀」がだめになったので、『SONGS』の1曲目の「SHOW」って曲名から、ぼくは「しょう」と命名されたんです』

 

(ふぅん。

    著しく回りくどいけど……、

    まるで落語みたいな説明。)

 

ほかの生徒の質問「先生、『しょう』って名前はどう書くんですか?」

 

 

『あ、そうだね。うーんっと、字を書いた方が、手っ取り早いんだな』

 

 

 

 

『これで「しょう」って読むんだ。読むの難しいよね。ま、タケカンムリに生きる、なんだけど。たしか作家で……誰だったかな……女性作家……よわったなぼくは文学、詳しくないんだ…』

 

軽くパニクってるので、

助け舟を出さなきゃ──

とは、思わなかった、

のに、

ひとりでに声が出てた。

 

野頼子。」

 

『そ、そう!    よく知ってるねキミ!』

 

(あ……目が合った、まずい)

 

と、

あのときのわたしは思っていた。

 

そして、荒木先生がわたしに、

 

『きみ、自己紹介してくれないかな?』

 

と、ひどく強引に自己紹介タイムにわたしを引きずりこんだので、

 

(なんでわたしから……)

という戸惑いで、気まずい沈黙をわたしが教室内に落とし、

その波紋がやがて、ほかの生徒の戸惑い、あるいは「早くしてよ」という声なき急(せ)き立て……に変わっていったので、どうしようもなくなり、

 

「青島さやかです、以上」

 

とこれ以上ないほどそっけなく冷たい応答をこの新任教師に向かって飛ばして、

その場を取り繕う気も当時のわたしには皆無で、

 

当時の荒木先生が、それ以降どうやってそのクラスを運営していったか──云々は、別の機会に譲るとして、

 

実は今年度も2年連続で荒木先生がわたしのほうの音楽の受け持ちになり、

というのは、わたしと愛は、どっちも芸術科目で音楽を選択しているのだが、じつはこの学校、音楽選択の生徒が多いので、わたしと愛で音楽を教わる先生が違っていて、

 

………………、

ともかく今年も荒木先生に音楽を習うことになって、

今年度の終わり際には……………………………、

 

 

荒木先生を意識し始めて、およそ1年が過ぎることになる。

 

 

 

 

 

 

【愛の◯◯】小泉さんと八木先輩と

本日期末テスト開始

ファミリーレストラン

 

小泉「あー八木キタキタキター、こっちこっち、八木~」

 

八木「わたしおなかすいたんだけど

 

小泉「お昼抜いた?」

八木「抜いた。テスト範囲の勉強を優先させて」

小泉「ほんとに優先すべきは入試の勉強じゃないの、わたしたち3年はーー」

八木「(・へ・💢)あのねえ!!

小泉「ヒェッ」

 

(呼び出しボタンを連打する八木)

 

八木「カツカレーください。あとドリンクバー」

 

小泉「(口元にシャープペンをあてがいながら)わざわざいちばんカロリー高そうなものを……」

八木「(小泉の制服の胸の部分をガン見して)摂取したカロリーがほとんど胸に行くひとはいいよね!

小泉「うっ……」

 

小泉「わたしね、

 ぽっちゃり、ってわけじゃないんだけど、

 それにしても、ヘンな話だけど、自分の脂肪が胸に偏りすぎてるんじゃないかって、

 むしろ気にしてんの」

八木「この前羽田さんが居候してるお邸(やしき)に行ったんだけど」

小泉「あーそうだったそうだった! どうだった?」

八木「戸部くんのね」

小泉「羽田さんの彼氏クンだよね。戸部くんの?(興味津々)」

八木「戸部くんの妹が、あすかちゃんって言うんだけど」

小泉「(いちいちうなずきながら)うん、うん」

八木「いま中学3年でねーー、

 じきにあんたみたいになるかもね」

小泉「(゚.゚)キョトーン」

八木(不埒な流し目で小泉の胸を再度眺める)

小泉「Σ( ;゚д゚)ハッ」

 

『カツカレーおまたせしまし「戸部妹は将来有望である、と」

 

『え、えーと(^_^;)』

 

ウエイターさんのことばを遮ってしまった八木「orzすみませんでした…

 

 

ものすごい勢いでカツカレーを完食した八木

ティーバッグを大量に使いものすご~く濃い紅茶を作ってきた八木

 

八木『ゴクゴクゴク

 

八木「わたしこんなこと言うつもりで来たんじゃないの」

 

小泉「『こんなこと言うつもり』ってw

 (^_^;)テスト勉強やるんでしょ」

 

八木「期末の勉強はおいといて」

小泉「ええっ」

 

八木「小泉、あんたほんとに大丈夫なの? この前葉山が、自習時間に小泉と一緒になって、

 

小泉、「慶應受ける」のは決めてるらしいけど、「どの学部」っていう質問に対してははぐらかしてた

 

 ってなことを聞かされたのよ。

 わたし調べた。慶應の入試の出願期間、あと2週間もしたら始まっちゃう*1じゃん!

 (キレ気味に)ほんとに受けるの、あんた、慶應?!

 

 

小泉「・・・・・・・・・・・・受けるよ。」

八木「小論文の勉強、やってる?!」

小泉「してるよ。」

八木「SFCじゃないよね!?」

小泉「SFCじゃないよ」

 

小泉「・・・・・・・・・・・・文学部、いっぽん」

八木「マジで!?

小泉「だってほかに人文科学系の学部がないじゃないの」

八木「じゃあほかの大学、早稲田とか上智とかーー」

小泉「(首を振り)ううん

 

八木「ねえ、小泉、冗談言ってるんじゃないよね、あんたほんとにひとつの大学のひとつの学部しか受けないつもり!?

小泉「(首を縦に振り)うん。

 現代文が苦手、っていうのも、理由のひとつには、挙げられるかな」

八木「小論文ってもっと難しいと思うんだけど」

小泉「早稲田は個人的に肌に合わなくて、上智ICUはもっと肌に合わないからーー」

八木「小論文の勉強どこまで進んでんのよ?!

 そ、それに、早稲田肌に合わないって、受ける前から決めにかかって、しかもあんたの口ぶりじゃ慶應志望はしょしょしょ消去法的なっ」

 

唐突に八木の右肩に手を伸ばし、ぽん、と置く小泉

 

小泉「八木~、

 あんた、焦ってるでしょ?

八木「なにを焦ってるって?! むむむむしろあんたがすんごく落ち着きすぎ高校3年の冬にもなってっ、」

小泉「八木。

 受験を、形式ばって考えないの!

 

 わたし……悟ったんだ。

 

 

八木「小泉」

 

八木「小泉、あんたの下のなまえ、『こはる』だったよね」

小泉「うん、そうだよ、でもなんでいきなり?」

八木「(構わず)『こはる』って、漢字でなんて書くの」

小泉「大きい小さいの『小』に、太陽の『陽』で、こはる。」

八木「ーーそっか。」

 

小泉「どうしてこのタイミングで訊いたの?」

八木「気持ちが昂(たか)ぶってるって自覚したときは、眼の前にいる友だちのパーソナルデータ的なことを訊くの」

小泉「(・∀・)眼の前にいなかったら?」

八木「それはまた、別の話」

 

八木八重子「……わたしの名前、『八重子(やえこ)』っていうでしょ」

小泉小陽(こはる)「うん。」

重子「あんたのフルネームの一文字目と三文字目に同じ漢字があって、わたしのフルネームの一文字目と三文字目に同じ漢字がある」

陽「ほんとだね」

重子「ねえ、わたし、たまにカラオケで小泉今日子の歌を歌うの。

 完全に家族の受け売りで、ね……」

陽「どんな歌を?」

八木八重子「『あなたに会えてよかった』」

 

 

あなたに会えてよかった

あなたに会えてよかった

 

*1:「2018年12月25日(火) ~ 2019年1月21日(月) ※締切日は17:00まで」 一般入試:慶應義塾大学 学部入学案内(入学センター)より

【愛の〇〇】至るところで本を読んでいる愛が、読まないところ、とは?

さいきん、愛が至るところで本を読んでいる気がする。

 

この前なんか、味噌汁を作ってる最中に、オタマで鍋をかき回しながら、片手で文庫本読んでた。

 

『(;´Д`)おいあぶねえよ!

    文庫本に引火したり、味噌汁の中に文庫本落としたりしたらどーするんだよ』

 

そう言って、たしなめたところが、

 

『(・_・  )大丈夫。わたしそんなマネしない。

    片手でページめくる技術マスターしたから』

 

ポカーンとするおれに追い討ちをかけるように愛は、

 

『(・_・  )満員電車のなかで文庫本を片手で読破する技術、教えてあげようか?』

 

なんて言ってきたのである。

 

うーむ。

夏休みのとき、『本が読めなくなっちゃった!』って、おれに助けを求めてきた愛と、同一人物とは思えなくなってくる。

 

まあ、本がどんなところでも読めるようになったというのは、良い傾向なのだろうが……。

 

愛「逆にわたしが本を読まないところ、教えてあげようかしら」

おれ「そんなところあるのかよ」

愛「( *`ω´)何言ってんのよ!    あるに決まってるでしょっ💢」

 

おれ「ど、どこですか、それは」

愛「3つ教えてあげるわ」

 

その1:授業中の教室

おれ「ふーん、おまえは授業中に隠れて本読んでて、先生に見つかってチョーク投げられるタイプだと思ってた」

愛「何それ!?

    ショックなんだけど」

おれ「(´ヮ`;)い、いや、いかにもおまえは、教科書に文庫本挟んでコソコソ内職的な読書をしているような」

愛「ないなあ~、ショック

おれ「いまわざとおまえ『内職』と『ない・ショック』をかけただろ」

愛「( ー`дー´)ユーモアがないとね」

おれ「(´-﹏-`;)はぁ…」

 

愛って意外と、ダジャレ言ったり、突拍子もないこと言ったりするよな。

天然なのかどうかは別として。

 

『授業中ほかのことするなんて人の道に外れてるじゃないの』、と愛は言う。

(;-ω-)ウーン、ごもっともだが……、

 

「退屈な授業」なんて概念は、愛の脳内には存在してなさそうだ。

おれも深くは追及しない。

 

その2:野球場のスタンド

 

おれ「まあな、まず第一に、いろいろとうるさいからな」

愛「(・_・💢)そういう以前の問題でね」

おれ「え」

 

愛「たとえば、大矢明彦が監督の横浜ベイスターズ──」

おれ「(;´Д`)ちょっと待て!!     おれもおまえもその時代生まれてねえ、90年代だろ!?」

愛「何言ってんのよ!

     第2次大矢政権よ、第2次大矢政権

おれ「あ・・・」

 

おれ「にしても、大矢が監督で負けまくってたころなんて、おまえ生まれてるにしても、2002年生まれだし……」

愛「(・_・  )あんただって2001年1月生まれじゃないの」

おれ「そうか、そうだな」

愛「そうよ」

おれ「おれ、早生まれなんだった」

愛「そうね」

 

愛「……じゃなくって!!

    例えばの話よ例えばの話。

    別に山下大ちゃんの時代でもいいのよ、暗黒ベイスターズハマスタ横浜スタジアム)でのホームゲーム、七回裏三者凡退、10点差をつけられて暗黒ベイスターズは敗色濃厚、関内駅に向かい観客がぞろぞろ帰り始め……、

    もう試合見たってしょうがないから、おもむろにスポーツ新聞やら夕刊紙やら週べ(週刊ベースボール)やら、挙げ句の果てに帰りの横浜線で読もうと思っていた文庫本を、あまりにも試合がしょうもないんで、しょうがないから開き始める観客たち……。

    球場は暇潰す場所じゃないっての!

    新聞や雑誌や本読むくらいなら、宮崎にヤジでも飛ばしてみなさいよ!    宮崎に甘いから、バント処理の送球よけるんでしょ!?

むーっ( 💢。•̀_•́。)」

おれ「( ゚д゚)ポカーン」

 

言葉が出ない──、

愛さん、それは実体験ですか、都市伝説の創作ですか!?

 

ロッテオリオンズの(平常時の)川崎球場ホームゲームじゃないんだから。

 

その3

 

愛「アツマくん、スポーツには詳しいよね。野球にしても、川崎球場流しそうめんやってたバーベキューやってた、みたいなホントだか嘘だかわかんない都市伝説を知っていたり」

おれ「川崎球場だったかどうかまでは知らんよ」

 

愛「えっと、それで最後に3つ目のところね」

 

急に愛が大人しくなった。

 

愛「気づかない?

    (照れ笑いを浮かべ)アツマくんが勉強してる近くでは、本を読まないようにしてるの。

    もうすぐ大学の入試、始まっちゃうし、さ。

    近くでわたしが本読んでると、気が散っちゃう……、

    だろうから。」

 

おれ「

愛「気づかなかった?」

おれ「全然

愛「いじわるw

 

『おれが勉強してるそばで本読んでたら、本を読んでるおまえのほうが、むしろ気が散っちゃうんじゃあないのか?』

 

──というツッコミを、おれは敢えてしなかった。

 

愛なりの、気配りも、オリジナリティがあって、なかなかよろしいではないか

 

 

 

【愛の◯◯】さやかに すごい Affair!?

わたし、青島さやか。

昨晩、愛が居候している戸部邸に行き、

アツマさんや、アツマさんの妹のあすかちゃんと、

ニンテンドウ64でひたすら遊んだ。

 

断っておくが、わたしも、戸部兄妹も、みんな2000年以降の生まれ。

 

でも、ウェーブレースやらマリオカートやらスマブラやら、なぜかあすかちゃんまでもが64の操作方法を知っていたし、あすかちゃん、「3Dスティック」のことを、ちゃんと「さんでぃーすてぃっく」と発音していたから、驚いた……。

 

で、ウェーブレースやらマリオカートやらスマブラで遊び倒したわけであるが、

愛はテレビゲームをやらないので、わたしたちが64に興じてるあいだ、手持ち無沙汰になっちゃうからどう気を配ろうか……と思ってたら、

 

わたし編み物するから

 

と、愛のほうから言ってきて、

ほんとにわたしたちが64やってる横で、チラチラテレビ画面を眺めながら、編み物をやりつづけていた。

 

いったいだれになにを作るの、愛……。

 

あ、

だれに、は、もう決まってるか。

 

てへへ。

 

 

アツマさんに、恥ずかしくて言えなかったことがあって、

 

まるでわたしのお兄さんとゲームしてるみたいでした

 

わたしの兄はとっくに社会人で。

忙しくて、64もゲームキューブも(ゲームボーイ)アドバンスの通信対戦も、近頃は一緒にできなくて。

 

だから、一緒に64やGCGBAをやってくれる存在が身近にいて、

それはまあ戸部兄妹のことなんですが、

わたしを戸部邸に引き寄せてくれたのは、何よりも、愛。

 

愛がいなかったら、わたしどうなってたかわからない。

ストレートに感謝の言葉を伝えるのは、素直じゃないわたしには、わたしのお兄さんを正面から抱きしめることと同じくらい、恥ずかしくて。

 

でもーー、

少しだけ編み物の手を愛が休めたとき、

何も言わず、愛に微笑みかけた。

さりげない微笑み。

それが、感謝の意思表示。

 

 

まあ、ここまでは良かった、

んだけど。

 

 

 

帰り道、駅まで愛と一緒に歩いた。

しばらくは、夜の閑静な住宅街。

 

「……さやかはさ、」

「なに?」

「気になってる男の子とか、いないの?」

ななななななによ藪からヘビ

「ヘビじゃないよ、でしょww」

「あんたが突拍子もないこと言うからでしょ!?」

 

「アカちゃんは、気になる男の子、いるみたいよ」

「∑(゚Д゚; )マジッ」

「本人に言ったら全力で否定されるだろうし、相手の彼は優柔不断で、当のアカちゃんは相手に対してまったく素直になれないから、難しい道のりになるだろうけど」

 

「あんまり背中を押しまくってたら、アカ子に振り向きざまにぶん殴られるよ」

「そこまでアカちゃん攻撃的じゃないよ…(^_^;)」

 

「気になってる男の子ね……、

 同年代には、いないね」

「年上?」

「そうだよ」

(幾分か細くなった声で)アツマくん、とかじゃないよね……

まっさーかぁwwwww

 恋愛小説の読みすぎなんじゃないの!?」

「もしかして大学生?」

「ちがう」

「(@_@;)もっと上なの!?」

 

 しばしためらったけれど、わたしは「うん」と答えた。

 

「伊吹先生がね。わたしに、『魔女の条件』だとか『高校教師』だとか、教師と生徒の禁断の愛を描いた90年代テレビドラマの話をしてくれたことがあったんだけど、」

 

 

bakhtin19880823.hatenadiary.jp

 

(↑参考文献)

 

「さ、さやかが気になってる年上の男性、何歳ぐらいなの?」

「若いよ。

 20代かな」

「ま、まさか、うちの学校のせんせいじゃないよね。

 いくらそういう接点が学校っていう場所ぐらいしかなくったって、」

 

(・_・;)

 

「さやか?!」

 

「おーい、さやかってば!!」

 

(・_・;)

 

 

【愛の◯◯】懐かしテレビ番組大好き小泉さん

幼いころから、クイズ番組とカウントダウン番組が好きだった。

 

知識を競う番組や、過去を振り返りさかのぼっていく番組が好きだったんだ。 

 

 

bakhtin19880823.hatenadiary.jp

 

巨泉の『クイズダービー』を知ったのは、スカパーのTBSチャンネルで再放送していたのを見たときだった。 

 

クイズダービー』も『8時だョ!全員集合』も、昭和の人気番組で、2000年度生まれのわたしの両親の世代の番組だ。

 

でも、『クイズダービー』を見たとき、

 

  • 30分枠のクイズ番組(アタック25は別として)
  • 横一列に回答者が並んでいるセット
  • 手書きの、問題文や出演者プレート
  • はらたいらさんの謎の正答率
  • ロート製薬独自のオープニング
  • なにより、大橋巨泉っていう存在

 

ーーこういう要素が、温故知新というか、昭和の番組だから逆に斬新で、当時流行っていたゴールデンタイムの番組が、食い足りなくなってしまった。

 

土曜といえば、『オレたちひょうきん族』。

もちろん、わたしの両親の世代が、リアルタイムガチ勢。

でも、スカパーで再放送してて、観たんだと思う。

ひょうきんベストテン』っていうコーナーがあって、『ザ・ベストテン』っていう他局(TBS)の番組のパロディであることを知った。

 

ま、ザ・ベストテンは、黒柳徹子が長生きだから、永く語られるでしょうね。

 

インターネットの繋がりを駆使して、『ザ・ベストテン』を録画したビデオテープを送ってもらって観たりもした。

 

幼少期からGoogleウィキペディアばっかしいじってたし、まぁそのおかげでこんな頭いい学校に入れたのかもしれないけど。

 

オタクだよね。

オタク。

同性の友だちが一貫して少ないのも、残念ながら当然。

 

だけど……

 

自習の時間

図書館に向かった

 

わたし「あれー? 葉山じゃん」

 

珍しい。

葉山が真面目に自習してるなんて。

てっきり、他人が寄ってこない穴場スポットでお昼寝してるかと思ったのに。 

 

葉山「自習時間じゃないの」

隣の席に座るわたし「真面目だね。

 葉山らしくない。あんたは、『まじめ仮面ライダー』だからw」

葉山「どういう意味…」

わたし「いや、まじめ、っていう仮面をかぶってるってこと」

葉山「そう……(カリカリカリ)」

わたし「(声を落として)ねえ、葉山さ、あんたが大学受けない、っていう噂聞いちゃったんだけど、ホントなの!?」

葉山「ええ、ホントよ

わたし「じゃあなんで一心不乱に赤本問いてんの……しかもあなたが受けそうにもない大学

葉山「わたし家庭教師のバイト始めたから

わたし「はいぃ!?

葉山「違う高校の3年生の子に受験勉強教えてんの。バイト代は図書カード、夕ご飯付き

わたし「…男の子?

葉山「女の子に決まってるでしょ

 

わたし「ふーん、葉山はえらいな

葉山「そ、そうかしら

 

葉山の頬(ほほ)に赤みがさしてる、照れてるのかな。

デレッとする葉山、普段とギャップあるねw

 

自習時間の残りを使いカフェテリアへ(黙許)

 

わたし「葉山ってよくわたしにウンザリしないよね」

葉山「そうかしら……文化祭のクイズダービーのときとかホトホト参ったけど」

わたし「でも、わたしが巨泉とか芳村真理(※『夜のヒットスタジオ』の司会)の話をしても、つきあってくれるじゃん。」

 

わたし「そういう子、葉山と八木だけだよ

一瞬キョトンとする葉山、

ではあったけれど、

葉山「あんたは一つだけ勘違いしてる」

わたし「どういう?」

葉山「小泉、あんたがしてくれる話が面白いから、あんたについていってるんだよ。

 八木も言ってたよ、『小泉の<昔話>もっと聴いてみたい』って。

 わたしも同じ気持ち

 

 

 

そんなコト思ってるなんて、

知るよしもなくて、

わたしは、固まっていた。

 

葉山「小泉、けっきょく慶應受けるのよね?」

 

葉山「こいずみ? おーい」

 

わたし「∑(´Д`)ハッ

 あ、う、うん、受けるよ」

葉山「経済?」

わたし「わたし純一郎って名前じゃないんだけど」

葉山「じゃーどうすんの」

 

わたしは、言葉に窮す。

 

わたし「うーん……、文系学部」

葉山「それじゃ答えになってないじゃん、大丈夫なの!?

 

葉山が「(;´Д`)」といった表情でわたしを真正面から見る。

ごもっとも。

 

葉山「小泉?

わたし「なぁに?」

 

葉山「わたしの家庭教師のバイトはかけもちもありなの」

わたし「まさか葉山さんあんた」

葉山「ーー家庭教師として小泉の家にわたしが行くか、小泉がわたしの家に来てわたしが在宅家庭教師になるか、どっちがいい? ふたつにひとつよ」

 

(;・∀・) 

 

わたし「羽田さんち

 

葉山「何いってんのあんた」

 

わたし「八木と葉山とわたしで、羽田さんのお邸(やしき)行こうよ! それで合同勉強会するの

 

葉山「あそこは羽田さん居候で戸部くんの家族の家なのよ、わかってる?」

わたし「うん(`・ω・´)」

 

わたし「いろんな人呼んでさ、12人くらいで集まって盛大に勉強パーティー

葉山「なにその12人っていう妙な数字は」

わたし「東京12チャンネル12

葉山「……(;-_-)」

 

 

【愛の〇〇】ハルくんの ささやかな 務め

ハルくん(スマホから漏れ出す声)『アカ子さんに三度会って三度怒らせてしまいましたぁ……

 

アツマくん「で、おれを『なかだち』にして、愛からアカ子さんに、おまえが『申し訳ないと思ってる』と伝えて欲しい、と」

 

わたし「アツマくん、代わって?」

アツマくん「え」

 

スマホを受け取ったわたし「……そっかそっかぁw

    うんうん、うんうんうんっ。

 

     大丈夫、月曜に教室で会ったら伝えるよん♪」

 

アツマくん「なんか、おまえ、ハルに、ずいぶん馴れ馴れしいというか──、

   おちょくってね!?

 

(・∀・)にやにや。

 

進展だ、進展!