愛の手料理すごくうまい

・明日美子さんとあすかから、帰宅が遅くなるという連絡があったので、アツマが迎えに行くことになったのだが・・・。

 

アツマ「流さん、出掛けちゃったな・・・」
愛「しかたないでしょ、彼女さんとの約束に、時間、遅れるわけにはいかないでしょうが」
アツマ「たしかに。しかし・・・(-_-;)」
愛「わたしとアツマくんだけになっちゃったね(-_-;)」

 

アツマ「ま、まぁ、もうすぐ母さんもあすかも、駅に着くから!!」
愛「もうすぐって、あと1時間以上の、どこがもうすぐ?」
アツマ「うっ」

 

愛「ねぇ、わたし、ごはんつくってあげる」
アツマ「えっまじで」
愛「だって、おなかがすいたら、イライラするでしょ」
アツマ「たしかにそうかもな」

 

 

エプロン姿の愛「〜♫」


とんとんとんとん・・・
包丁とまな板の音。

 

じゅーじゅーっ。
フライパンで、炒めものをしている音と、
香ばしい薫り。

 


エプロン姿の愛「おまちどうさま。」

アツマ「あ、こりゃどうも」

 


○食卓で向かいあう愛とアツマ

 

アツマ(なんか、しーんとしてて、落ち着かないなぁ)
愛「じゃ、食べよっか」
アツマ「おお」

 

『いただきます』

 

アツマ(黙々と食っている)
愛「あの〜」
アツマ「なに?」
愛「コメントとかないの」
アツマ「なんの?」
愛「料理のに決まってるでしょっ」
アツマ「ん・・・(^_^;) おまえの料理はなんべんもなんべんも食ってるからな、」
愛(あのねぇ・・・)
アツマ「贅沢にも
愛(ドックン!!

 

愛(え、いま、「贅沢にも」って、言ってくれた!?
 わたしの料理を、アツマくん、ほめてくれて、ということは、
 いつも、わたしの料理、美味しい美味しいって思いながら、食べてるってことでーー)

 

アツマ「お〜い、愛さ〜ん?」
愛「(我に返って)き、きらいな材料とか無かった?」
アツマ「ない、嫌いな食い物がないのだけが取り柄だから」
愛「そんなに自己評価低くなくてもいいじゃない」
アツマ「それに、おまえの作り方が上手いのか、『食べやすい』んだよ、おまえの料理は。分量も、満腹になりすぎない程度で、絶妙だし。
 なにより、美味しいしな」


愛(えっ・・・・・・、
 ホメ殺し!?
 まさかの?
 心なしか、心臓の鼓動が、トクントクンと速くなってーー、)

 

アツマ「あ、やべ、あすかからメールだ。悪い、片付けやっといてくれ、迎えに行かなきゃあ」
愛「あ、はい(・・;)」


○玄関口まで来たアツマ

(待てよ・・・・・・)

 

「おーい」

愛「どうかした、アツマくん?」
アツマ「おまえ、ひとりで洗い物してるの、寂しいだろ。
 一緒に駅まで行こう」
愛「!?!?!?
アツマ「なにポカーンとしてんだ、ふたりで駅まで歩いていくだけだろ」
愛「あああああらいものとっとっととちゅうで
アツマ「流すだけでいいだろ。
 拭くのは俺がやってやる


固まってしまった愛「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どこか、わたしの料理、おかしかった??」

アツマ「なに言ってんだ、美味しかったよとても! ほら、もう電車が来ちまう、行くぞ!!(玄関に)」
愛「ま、待ってよ!」


・・・・・・まだ日没前で、駅への道は明るかった・・・・・・

 

学年トップの優等生でも満点は取れない

 

ぼくたちは勉強ができない 6 (ジャンプコミックス)

ぼくたちは勉強ができない 6 (ジャンプコミックス)

 

 

 

アツマ(少年ジャンプを読みながら)
  

 理系の天才理珠
 文系の天才文乃
 スポーツの天才うるか

 主人公の唯我成幸くんが、この3人の教育係になる。
 

 

 なぜなら、

 理珠は文系科目がダメ。
 文乃は理系科目がダメ。
 うるかは勉強がダメ。

3人とも、自分の得意分野以外は、てんでダメだから、主人公の成幸くんが、3人のダメなところを補ってあげているわけだ。

 

ただ、文系科目も理系科目もスポーツも、みんな飛び抜けた女子高生が、おれのいちばん身近にいるわけだが・・・

 

 


クラスメイトの藤村 「戸部、何難しい顔してんの?」

アツマ「いや、現実は漫画より奇なり、ってよく言ったもんだなあ、と」

藤村「それを言うなら、事実は小説より奇なり、でしょうが」

アツマ「さすが国語が得意科目・・・」

藤村「あんたなんで私大文系クラス選んだの」

アツマ「は?」

藤村「英語と歴史はそこそこ出来るみたいだけど、国語はあまり得意じゃないよね。

 もったいないよ、最高の家庭教師がいるのに」

アツマ「うっ・・・」

藤村「なんで現代文がいちばん苦手なのっ」

アツマ「あのなあ、藤村は、愛が俺に本を読ませているんだから、現代文の成績が上がらないはずがない、こう思ってるだろ」

藤村「そ、そのとおりだけど?」

アツマ「本読みまくったら現代文の成績上がる? おかしいよ、あれはウソだ」

藤村「どうして」

アツマ「おれさあ、ここ一年で、読書量が10倍以上増えてるんだよ」

藤村「愛ちゃんのおかげじゃん。じゃーなんで?」

アツマ「たとえ読書量が10倍に増えてもなあ」

藤村「・・・」

アツマ「国語の偏差値は1しか上がらなかったんだよ」

藤村「経験論!? まだわかんないじゃん。
 これから、愛ちゃんと本読みを続けていけば、入試のころには偏差値がそれこそーー」

アツマ「読書と試験は別だよ

藤村「わかってるよ、そんなこと」


藤村「ーーねえ、話は違うけど」

アツマ「なに」

藤村「愛ちゃんとはドコまで進んでるの

アツマ「はぁ!?」

藤村「あの娘も高校生になったんでしょ」

アツマ「高等部な」

藤村「高等部。
 最近大人っぽくなってきたとか、そんなニュースないの、ひとつ屋根の下で暮らしてるんでしょ」

 

思案するアツマ。

 

アツマ「髪が・・・少し伸びたかな

藤村(ニヤニヤ)

 

アツマは自宅に帰った

 

ぼくたちは勉強ができない 6 (ジャンプコミックス)

ぼくたちは勉強ができない 6 (ジャンプコミックス)

 

 

アツマ「ちょっと愛に訊きたいことがあるんだけど」

愛「なに?」

アツマ「えーっと、(なぜか勿体ぶって)」

愛(え、な、なんで言い出さないのかな)

アツマ「あー、そうだ!」

愛(なぜかドックン! という心臓の高鳴り)

アツマ「最近読んだ漫画でさ」

愛「(しおれるような声で)なんだ、漫画か(-_-;)」

アツマ「漫画のなにが悪いんだよ。

 最近読んだ『ぼくたちは勉強ができない』っていう漫画で、模擬試験で、数学で200点満点を取る女の子と、国語で200点満点を取る女の子が出てくるんだけど。

 数学で満点取るのは、まあ可能性はあるわな

愛「そうね。わたしも中等部時代数学で満点取ったことが何度かあるわ」

アツマ「だろ?

 でもさ、国語で200点満点取るのって、ほんとうに可能なのか?

愛「ものによるでしょ。

 これまでのセンター試験みたいな完全マークシートだったら、とうぜん、200点満点取るひとが出てくるわよね?

アツマ「たしかに」

愛「同じ200点満点のテストでも、全部マーク式か、それとも記述式の問題もあるのか、で、事情は大きく変わってくると思うわ」

アツマ「で、単刀直入に訊きますが、愛さんは、いまの学校での国語のテストで、満点を取ったこと、ありますか?

愛「ないわ

アツマ「ずいぶん即答で・・・」

 

アツマ「なんで満点取れないんだ、やっぱ記述式か、それとも漢字か」

愛「漢字の問題を間違えるなんて、馬鹿げてるわ」

アツマ「あ、はい」

愛「でもねえ、つまらないミスで、漢字の問題とか、選択肢の問題とかで、点を落としたことはあるわ」

アツマ「選択肢を書き間違えた?」

愛「それもあるにはあるけど・・・そもそも、間違った解答を選んでいただけ、ってことも」

アツマ「へえ、愛でも、間違えることあるんだ

愛「わたし、人間よ? ロボットや人工知能じゃないのよ!? 間違えないほうがおかしいでしょっ

アツマ「たしかに・・・俺はトンチンカンな選択肢をマークしてばっかりだけど・・・(^_^;)」

愛「あとね、記述式問題で減点されたことは、ほとんどないわ」

アツマ「ほとんどってことは、減点されたこともあるんだ。

 じつに人間らしいじゃないかw」

愛「うるさーーーーーーーーーーーーーーーーい!!

 

ボタンは、ほつれない

「あすかのバカー!!!!!!!!!!!!」

 

(走り去る音)

 

あすか「(;´Д`)あ、あ、ああ……」

流さん「おいおい……」

 

発端は今朝にさかのぼる

アツマ「うっひょおおおおおお!!!!!! すごくいい天気だなあ、なあ、ふたりとも!!」

 

愛「……ムスッ」

 

あすか「……ぷいっ」

 

アツマ「あ、あれ? (;・∀・)」

 

おいおい、冷戦状態か、こいつら?

 

愛がこっちに来てから、一度も喧嘩しなかったくらい、それこそ姉妹みたいに仲がよかったふたりが、まさか・・・ 

 

冷蔵庫を開けた愛「あ!

 

アツマ「ななんぞ!?」

 

非常に苦々しい表情の愛「プリンがない

 

あすか「Σ(゚д゚lll)」

 

アツマ「お、おりゃしらねえべさ」

 

愛「なんで田舎言葉になってんの?( -_-)」

アツマ「食ってねえよ、おれ、普通にーー」

 

あすか「((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル」

 

愛「じゃあだれが食べたの?

 きょうのおやつの時間にコーヒーと一緒に食べようと思って楽しみにしてたのに(・д・)」

 

あすか、ひたすらうつむくだけ

 

アツマ「ま、まさか、あすか、おまえ・・・(゚A゚;)ゴクリ」

 

あすか、ひたすらうつむくだけ

 

愛「あすかちゃんがやったの?

 

冒頭に戻る

 「あすかのバカー!!!!!!!!!!!!」

 

(ドドドドドド)

 

◯愛の部屋

 

愛(ベッドの布団をひたすら叩きながら)「あすかのバカバカバカバカバカバカ!!!!!! 大馬鹿!!!!!! 恥知らず!!!!!!!!!!

 

ひとしきり悪態をついて疲れた愛「・・・・・・わたしのバカ・・・・・・

 

30分後

愛の部屋で正座するアツマとあすか

 

アツマ「このたびは妹が粗相(そそう)をやらかしましてゴニョゴニョ」

 

(起き上がってベッドに座っているがひたすら下を向いたままの愛)

 

愛「・・・・・・・・・・・・・・・・・アツマくん。」

 

アツマ「は、はい」

 

愛「あすかちゃんとふたりきりにさせて」

 

アツマ「( ´゚д゚`)エー」

愛「女同士のほうがいいもん!!

あすか「わ、わたし、ダメです…(;´Д`)…こころの準備が…」

 

(立ち去るあすか)

 

アツマ「お、おい!! 待てあすか(追いかけようとする)」

 

しかし、愕然とする愛をアツマは見てしまった。

 

アツマ「あ、愛さん??」

愛「( ゚д゚)」

アツマ「固まってる……」

愛「( ゚д゚ )」

アツマ「いやこっちみんな」

 

しばしの沈黙・・・・・・

 

ふたたびうつむいてしまう愛。

 

 

 

愛「ねえ、アツマくん…

アツマ「なんじゃいな」

愛「このままケンカしたままじゃいやだよぉ…

アツマ「それはそうだが、いったいどうすれば…これは『痴話喧嘩』みたいなもので男がみだりに介入するのはどうかと、」

愛「『痴話喧嘩』の使い方、完全に間違ってる

 

 

 

◯愛の部屋

 

毛布にくるまる愛。

部屋でひとりぼっち。

 

愛(どうしよう……)

 

と、そこにー?

 

(ドアを開ける音)

 

愛(し、しまった、ドアのカギかけわすれてーー)

 

愛「!!

 

なんとシャチのぬいぐるみを抱えたパジャマ姿のあすかが、眼の前にそびえたっているではないか!!

 

愛「あ、あすかちゃん、それは!?」

 

あすか「見てのとおりです」

愛「見てのとおりって」

あすか「愛さん!!

愛「ふ、ふええ」

あすか「寝ましょう、一緒に

愛「ーーーーーーーえ」

あすか「寝るったら寝るんです!! きょうはわたしここで寝るんです!!

 

そして、半ば強引に、あすかは愛のベッドにシャチのぬいぐるみを抱えて入ってくる。

 

愛の隣で寝はじめるあすか。

 

愛「・・・・・・(;・∀・)」

 

 

 

愛「ε- (´ー`*)」

 

愛(もう、しかたがないなあ)

 

 

あすか(寝言?)「おねーさあん、『ななつのうみのティコ』ってアニメがあるんですけど、しりませんかー、おっきなシャチがでてくるんですよぉー

隣で添い寝のようになっている愛「ε- (´ー`*)」

 

 

ボタンの掛け違え

愛「アツマくん、箸の持ち方が直らないね」

アツマ「ガキのころに矯正できなかったからな・・・もうあきらめてるよ」

愛「まだなんとかなると思うよ。社会人になったとき、意外とそういうところを見られるんじゃないかな。わたしはもちろん社会人じゃないから、そう思う、ってだけだけど」

明日美子さん(深くうなずく)

愛「や、やっぱり、そういうものですよね? (^_^;)」

アツマ「うう・・・」

 

愛「いい? 正しい箸の持ち方って、こうだよ」

アツマ「こう、か?」

愛「そうそう、その調子」

アツマ「こう、だな?」

愛「そうそう、やればできる」

 

 

遠目で妹は観ていた

 

さいきん、お姉さんとお兄ちゃんが仲睦まじい。

 

お姉さんが、お兄ちゃんを『アツマくん』と呼ぶようになってから。

 

それに、お姉さん、以前より、お兄ちゃんに対する『当たり方』が、柔らかくなってると思う。気のせいじゃない。

 

前は、お兄ちゃんに対して、もっと厳しかった。

 

そんなお姉さんが、好きだったのに・・・

 

「あすかちゃん?」

 

あすか「ほ、ほぇあ!

愛「なんか悩み事でもあるの? 考え事してるみたいだったけど。もしかして高校受験のこととかーー」

アツマ「入試は来年だからー、とか思ってたらあっという間に来るぞー。愛に勉強教えてもらえ〜」

あすか「で、でも、お兄ちゃんだってそうじゃん。大学受験

アツマ「お(-_-;)」

 

愛「さすがに大学受験はカリキュラムの問題でわたしが追い付けないところがあるかな〜」

アツマ「いくら名門女子校といっても、全単元が終わるのは高2の年度末らしいからな」

あすか「それって、お兄ちゃんが自分で頑張らないとイケないってことだよ!💢」

アツマ「う(-_-;)」

あすか「お姉さんに頼ってばかりじゃダメってこと自覚しなよ、自己責任だよ」

アツマ「きょうは攻めるな(-_-;)」

あすか「箸の持ち方教えてもらってる場合じゃないよ。

 

愛「😨ガーン」

 

あすか「(焦って)あ、あの、これは、お姉さんが箸の持ち方教えるのが悪いんじゃなく、バカ兄貴の日頃の行いが・・・」

アツマ「なんだと!? プンスカプンスカ💢」

あすか「だってそうじゃん!! お兄ちゃん、やりたいことばっかりやって、やらなきゃいけないこと後回しにしてるじゃん!! バカ!!!

アツマ「バカって言ったやつがバカなんだぞ!!

愛「やめて!!!

 

兄妹「・・・・・・」

愛「きょうだいは仲良くするものでしょ!? 言い争わないで!!

兄妹(シーン・・・)

 

あすか「あ、あの、おねえさん、ごめんなさい」

愛「なんであすかちゃんが謝るの?

あすか「えっ・・・」

愛「とにかく仲直りして。仲直りするまで誰にも勉強教えない」

(階段を駆け上がる音)

 

その翌日の夕方

 

なんか、お姉さんともギクシャクしちゃったな・・・。

 

朝ごはんのときも、目を合わせづらかったし。

 

やっぱ、わたしの不用意なひとことが、いけなかったんだろうか。

 

お兄ちゃんとふたりで、謝ろう・・・。

 

○リビング

 

あすかは、兄の帰宅を待っている。

 

お兄ちゃん、遅いよ。帰宅部のくせして。

 

はやくお姉さんとの“より”を戻したいのに・・・!

 

そこに・・・

 

『ただいまかえりましたー』

 

お、お姉さんが帰ってきちゃった!

 

愛「あすかちゃん、ただいま」

あすか「お、おかえりなさいませ(^_^;)」

 

しばらく、ふたりとも沈黙。

 

あすか「あっあの」

愛「昨日はごめん、あすかちゃん!

あすか(えっ?)

 

「あんなに怒鳴ったりして、ビックリさせちゃって」

 

なんで?

 

わたしたち兄妹が仲直りしなきゃいけないって、昨日お姉さんは・・・言ったはず。

 

そうしないと、高校受験の勉強も教えてあげないって、お姉さん、きのう・・・!!

 

愛「あのね、あすかちゃん、勉強ならいつでもーー」

 

あすか「ほっといてください!!

 

あすか「(マズイことをしてしまったという焦り顔で)あっ・・・」

愛「あ、あすかちゃん、昨日はわたしが言い過ぎて、」

 

あすか「と、とにかく、きょうだいのことはきょうだいで解決しますからっ(震えながら)」

愛「あすかちゃん・・・、もしかして、怒ってる?」

あすか(!)

 

慌ててカバンを持って自分の部屋へ駆け出すあすか。

 

愛「あ、あすかちゃん!? (゜o゜;

待って、もう少しはなしを聞いて!?」

 

 

部屋に入るなり、ベッドに倒れ込むあすか。

 

どうしよう!?

 

お姉さんと、顔を合わせられなくなっちゃった!!

 

 

 

1998年のヒット曲についての序の口

圭二「この年の年間1位はGLAYの『誘惑』です・・・」
さつき「サギじゃないの? 『夜空ノムコウ』(2位)や『my graduation』(3位)のほうが100倍いいじゃないの」
圭二「いきなりあなたどころかこのブログの中の人のクビまで飛ぶような発言はやめてください!!」

 

圭二「L'Arc~en~Cielが、年間7位のシングルを出しました・・・」

 

 

『ちわーっす、出前っす』

 

 

さつき「誰? 頼んだの」

 

イチロー「あー僕です僕です」

出前のあんちゃん「カニ雑炊で良かったですよね?」

さつき「*・(゚O゚(☆○=(`◇´*)o コノヤロー!!」

イチロー「ぐええええええ!!」
出前のあんちゃん「あ、あの、いったい何が・・・」
さつき「あたしとL'Arc~en~Cielと98年の音楽への当てつけ!? これは」
イチローカニ雑炊がどうかしたんですか?」

 

出前のあんちゃん「あちゃー、1000円札が血で汚れちゃったな」
さつき「はい」
出前のあんちゃん「あ、きれいなお札、わざわざすんません」
さつき「とうぜん」

出前のあんちゃん「そういえば、オレ聞いたことあります。ラルクの『HONEY』のサビがカニ雑炊に聞こえるって」
さつき「それよ。あたしはそれが気に食わなかったからイチローを殴ったの」

 

 

理不尽すぎる!!

「なまえでよぶよ」

○ダイニング

 

あすか「あ、きたきた、やっときた」

 

愛とアツマが下りてきた。

 

あすか「お姉さん、きょうは、80パーセントぐらいわたしが作ったんですよ♥」

愛「この量のミートスパゲッティを!?

すごい!!」

アツマ「おい、サラダとスープもあすかが作ったんだろ、褒めてやれよサラダとスープも」

 

愛「そうだね、アツマくん

 

あすか「!?

流さん「!?

明日美子さん「(^^)」

 

あすか「あ、あの・・・・・・お姉さん、いつからお兄ちゃんのことを、下の名前で呼ぶように(;´Д`)」

流さん「でもめでたいじゃないか、アツマもやっと名前で呼んでもらえて

 

アツマ「そうですよねw」

愛「あのね、アツマくんと、いまさっき、上で相談して決めたの」

アツマ「そうなんだよ。おれの部屋で」

あすか「!? お兄ちゃん、まさかお姉さんを部屋に連れ込んだんじゃないでしょうね!?」

愛「あのね、あすかちゃん、わたしのほうが『部屋に入りたい』って言い出したの。ヘンなことは何もしてないから。大事な話があっただけ。

 しかもね、”大事な話”のこと、アツマくんの部屋に入ったら忘れちゃって、けっきょく、その”大事な話”は、『これから名前で呼びたいんだけど、どう呼べばいい?』ってw」

 

 

あすか「産婦人科予約しなくていいですか

愛「だいじょぶだいじょぶ、ほんとうにやってないから

あすか「ホントですかぁ?

愛「だいじょぶだから、このブログの中の人が今後証明してくれるから

あすか「

愛「何もなかったってことは、何も書かないってことだよ

あすか(きょとん)

 

 

『いっただっきま~す』

 

 

愛「(ミネラルウォーターが入ったグラスを持って)これからもよろしくね、アツマくん

アツマ「(コカ・コーラが入ったグラスで、愛のグラスと乾杯して)

ああ、よろしくな、愛」

 

 

愛、アツマのベッドで爆睡!!

「ほら、入れよ」

「お邪魔します」

 

「ちょ、いきなり本棚チェックかよ(-_-;)」

「本棚と言える本棚がないじゃないの」

「ちょっと言ってる意味がわからないのですが」

「あんた、ほんとうに本を読まないのね」

「昔よりは読んでると思いますが、あんたのおかげで」

個性がない・・・・・・

「何が!?」

「CDの棚に個性がない。『とりあえずこれを聴いとけば、見栄を張ることができる』って感じ。流行の『良い音楽』を後追いしてる感じ」

「ケッ、悪かったな(゜-゜)」

 

「おい、きょうは暑いだろ、クーラーつけっぞ」

「・・・・・・」

「受け応えはちゃんとしような」

「・・・・・・」

 

気がついたらアツマのベッドに座って、うつむいて身体を小さくしている愛なのであった。

 

「寝たかったら寝ろよ」

「お断りします(ゴロン)

「な・・・・・・!

言ってることとやってることが食い違ってるじゃねーか!!」

 

愛はスヤスヤ寝てしまった。

 

「けっきょくおれの部屋にまで来て何がしたかったんだこいつは」

 

タオルケットを掛けてやり、目を覚ますまで、机で『課題図書』を読むことにした。もちろん愛が出した『課題』だ。

 

『利比古(としひこ)・・・・・・こっち来て・・・・・・わたしが髪をといてあげるからね・・・・・・』

 

(どんだけブラコンなんだ、こいつは)

日曜日の事案

○日曜日の昼下がり・・・・・・

 

アツマ「きょうは珍しいな、本がないじゃないか」
愛「悪い!? (・へ・)」
アツマ「こ、高校には慣れたか!?」
愛「高等部 (・へ・💢)」
アツマ「すみません^_^;」

 

アツマ(じーーーーっ)

 

愛「何!? (°ー°💢)」

アツマ「いやなんでも」
愛「鼻毛でも出てる!? (°ー°💢)」
アツマ「ぐはぁ(*_*;」

 

 

○2時間後

アツマ「お〜い、たい焼き買ってきたぞぉ」

愛(すやすや)

アツマ(あ、愛が昼寝だと(゜-゜;;))

 

 

 

愛の夢の中

おとうさん・・・・・・、
待って、おとうさん・・・・・、

 

利比古(としひこ)・・・・・・?
利比古が、おとうさんといっしょに・・・・・・行っちゃう・・・・・・?

 

『愛』

 

これは、お母さんの呼びかけ・・・・・・。

 

『愛、こっちに来なさい』

 

いやだ、わたし、わたし、おとうさんと、利比古が、遠くに行っちゃうの、お母さん、なんで? お母さん!!

 

 

 

愛「ムクリ」

 

愛「あ、あれ、夕方……」

 

愛「!!!!!!!!」

 

愛「ガバッ」

 

アツマ「(真剣な面持ちで、愛の正面を向いて)おい」

 

姿勢を直して、ぽかーんとした顔で、アツマの顔を見つめる愛。

 

アツマ「どうした?

 

愛「そ・・・・・・そんな眼で見つめないでよ」

 

アツマ「イジメにでも遭ってるのか?」

愛「わたしの学校にイジメなんかない」

アツマ「じゃあホームシックか」

愛「(首を振り乱して)ちがう!! そんなんじゃない!!!

 

愛のあたまに手を置くアツマ。

 

愛「さわらないで」

アツマ「おれの胸にもたれかかってスースー寝てたクセに」

愛「(顔を真っ赤にして)せ、セクハラ!!

 

アツマ「あしたからまた学校だろ」

愛「それがどうかしたの、あんたもでしょ」

アツマ「こーゆーのはなぁ、きょう、寝るまでのうちに解決しておくもんなんだよぉ!」

 

愛「・・・・・・」

アツマ「・・・・・・」

愛「・・・・・・」

アツマ「・・・・・・」

愛「・・・・・・」

アツマ「・・・・・・」

愛「・・・・・・ねぇ」

アツマ「はい (¯―¯ )」

愛「あなたの部屋に入らせて

アツマ「はいぃ!? (´゚д゚`;;)」